セーラー万年筆プロフィット21_上半身
セーラー万年筆は、1911年(明治44)広島県呉市に創業した、日本で初めて純国産の14金ペン先を生産した筆記具メーカーです。1952年に本社を東京に移転し、現在は東京の虎ノ門に本社があります。工場は今でも広島県の呉市にあります。セーラーという社名の由来は、「将来は自分たちの製品を船で輸出し、海外に覇を唱えたいという念願と、一人の提督よりも多くの水兵(セーラー)の方が大切だ」と言う思想からきたのだそうです。セーラーは、1948年に国産初のボールペンを発売したメーカーです。

私の生まれ故郷である広島で創業した筆記具メーカーということで、とても親近感を覚えます。

プロフィット21は、セーラー万年筆を代表する万年筆シリーズで、1981年に発売されて40年以上が経過した今も根強いファンの多いコレクションです。もちろん、万年筆のこと。各式の高い21金ペン先を搭載したプロフィットシリーズの万年筆という意味で、プロフィット21と名付けられたのではないかと推察します。
プロフィット21ボールペン
万年筆の書き心地にならい、ペン先側を重くした低重心設計で、筆記時のふらつきがなくペン自体の重みではっきりとした筆跡の文字を書くことができます。
セーラー万年筆公式Webサイトより

私は、舶来ボールペンを好んで使っているので、お仕事で少し縁のあったパイロット以外の国産ボールペンはほとんど持っていません。セーラーはずっと気になっていたものの、なかなか購入までは至らず…。と言う感じだったのですが、この度、ついに購入した「プロフィット21ボールペン」をご紹介します。プロフィット21は、「もっと早く購入しておくべきだった!」と思えるほど、すばらしいボールペンでした!1週間使ってみてのレビューです。


■セーラー プロフィット21の化粧箱

セーラー万年筆プロフィット21_化粧箱
外箱をスライドさせて化粧箱を取り出します。セーラーのコーポレートカラーは、夜明け前の瀬戸内海の海の色。明るい未来の幕開けを意味しています。おそらく、化粧箱の色もそれに準じている…かな。
セーラー万年筆プロフィット21_化粧箱2
上蓋を外すと、プロフィット21な姿を表します。(購入時にはプラスチックの袋に入っていました)
セーラー万年筆プロフィット21_化粧箱の上
対面したときの第一印象は、「太っ!!」。これは迫力があります。

■セーラー プロフィット21のデザイン

セーラー万年筆プロフィット21_全身
パッと見、モンブランのマイスターシュテュック ル・グランさながらの風貌です。ザ・クラシック!という感じ。
セーラー万年筆プロフィット21_上半身2
太いキャップ部。威風堂々、骨太でカッコ良いですね。オッサン臭がプンプンします、良い意味で。言いかえると、紳士のためのボールペンという雰囲気です。
セーラー万年筆プロフィット21_上半身
高級感が溢れています。クラシカルな風貌。
セーラー万年筆プロフィット21_ペン先
ペン先。ボディから口金にかけて滑らかに細くなっています。

■セーラー プロフィット21の持ち心地

セーラー万年筆プロフィット21_持ち心地
プロフィット21は、驚くほど持ちやすいボールペンです。
セーラー万年筆プロフィット21_持ち心地2
この太さが、めちゃくちゃしっくりきます。太いキャップ部が手にもたれかかってくるのですが、おそらく太さがあるため、設置面が広く、ペンの重さが分散しているのではないかと思います。
セーラー万年筆プロフィット21_持ち心地3
本当に持ちやすいです。PMMA樹脂(アクリル樹脂)のボディは指にしっとりと馴染みます。マイスターシュテュックのモンブラン樹脂(プレシャスレジン)に匹敵する質感です。
セーラー万年筆プロフィット21_重心
重心はペン先から約69mmの位置にあります。低重心のボールペンです。高級ボールペンで低重心は珍しいですね。
セーラー万年筆プロフィット21_重心2
こんな感じです。キャップ部がこんなに大きいのに、重心が低い(ペン先側にある)というのは不思議です。
セーラー万年筆プロフィット21_重さ
重量は34.1g。おお、好みの重さです!
セーラー万年筆プロフィット21_長さ
長さは、143.6mm。少し長めですね。
セーラー万年筆プロフィット21_軸径
軸系は、グリップ部が11.9mm。好みの太さ!
セーラー万年筆プロフィット21_キャップ径
キャップ部は15.5mmです。太い!
セーラー万年筆プロフィット21_重量バランス
テーブルの上のボールペンを持ち上げるときに、私はいつもこの当たりを掴んで持ち上げます。セーラーのプロフィット21は、ちょうど重心位置をつまむことになり、スッと持ち上げることができます。高重心のボールペンの場合、キャップ部が重いので、軸を持つとキャップ部分が重みで下がり、指に力を入れないといけません。

プロフィット21は、持った瞬間に「持ちやすっ!!」と驚きました。筆記する前に、素晴らしいボールペンだという実感を得ました。


■セーラー プロフィット21の機構

セーラー万年筆プロフィット21_替え芯
プロフィット21はツイスト式ボールペン。軸を回転させてペン先を出し入れします。回転フィールは実に上質。程よい抵抗で音もなく回転します。プロフィット21は、軸の回転を止めたところでペン先が止まります。クロスのボールペンと同じですね。バネでペン先を収納するような機構ではありません。
セーラー万年筆プロフィット21_替え芯2
セーラーの油性インクは独自のリフィル(18-0300)が装填されていました。最新のリフィルは、18-0500です。パーカータイプやカランダッシュのゴリアット芯にサイズと形状が似ていますが、互換性はありませんでした。
セーラー万年筆プロフィット21_替え芯3
セーラーの18-0300や18-0500は、シェーファーのクラシックリフィルと互換性があるとのことですが、シェーファーは持っていないので確認はできていません。
セーラー万年筆プロフィット21_ウエイト
プロフィット21の胴軸の部分からペン先にかけて、低重心にするための金属の「おもり」が装着されていました。
セーラー万年筆プロフィット21_軸の重さ
なるほど。胴軸の重さは13.7gありました。

文句なしの高級感を身にまとう、王道の仏壇カラー(黒金)は間違いなく最高ですが、ホワイトもとてつもなく魅力的です。


それでは筆記してみましょう。

■セーラー プロフィット21の書き味

セーラー万年筆プロフィット21_書き味
お?

これは!

イメージしていたのと全然違って、思いっきり油性インクです。紙の上を滑りすぎることはなく、ペン先にしっかりと抵抗を感じながらも、なめらかに筆記ができます。パーカーのQuink FLOWに似た書き味です。
セーラー万年筆プロフィット21_書き味2
低重心のボディは、しっかりと前先に重さが伝わり、どっしりと安定した書き心地です。重量がうまく作用しています。ボールペン全体のバランスが良いですね。書いていて楽しくなる感覚です。
セーラー万年筆プロフィット21_ペン先の握り

グリップ部がストレートでなくペン先に向けてテーパーになっている(細くなっている)ので、ペンの重さがグリップに貢献しています。
セーラー万年筆プロフィット21_ノートの上
セーラーのプロフィット21ボールペンは、驚くほどに好みの書き味でした。


同じ高級クラシックのジャンルで戦うパイロットのカスタム74と比較してみます。
セーラー万年筆プロフィット21_パイロットカスタム74
両者とも雰囲気は同じなのですが、こうしてみるとカスタム74が華奢に見えてしまいます。
セーラー万年筆プロフィット21_パイロットカスタム74_2
国産が誇る、紳士のための高級ボールペン。オーラがでています。
セーラープロフィット21_パイロットカスタム74書き比べ
パーロットが誇るなめらか低粘度インク、アクロインキとの書き比べ。滑るようななめらか書き味と発色の良さは、パイロットのアクロインキに軍配が上がります。サイズもカスタム74の方が万人受けするかもしれません。他方、ペン先から伝わる感覚、34.1gの重量と低重心ボディ、筆圧で線をコントロールする楽しさなどの筆記体験は、セーラーのプロフィット21の方が「好み」です。発色の良さは筆記後しばらくたつと、顕著な差はなくなりました。

セーラープロフィット21_カスタム74_MS
せっかくなので、モンブランのマイスターシュテュッククラシックも並べてみました。クラシックは一回り小さなサイズ。似てますね。マイスターシュテュックは1924年にいち早く発売されています。
セーラープロフィット21_カスタム74_MS2
クリップの形状はセーラープロフィット21とマイスターシュテュックが似ています。カスタム74は雨だれクリップなので、少し雰囲気が違います。マイスターシュテュックが3連リング、プロフィット21とカスタム74が2連リング。
セーラープロフィット21_カスタム74_MS3
こうして見ると、セーラーのプロフィット21のサイズが際立ちます。ツイスト式の機構は、マイスターシュテュックとカスタム74は、ペン先のロック解除で自動的にペン先をぬるりと収納しますが、プロフィット21はロック機構がなく、回転を止めたところでペン先が止まります。書き味は、マイスターシュテュックとプロフィット21が近いです。

セーラーのプロフィット21は名作中の名作

なぜ、これまで購入しなかったのか…。悔やまれるほどに、プロフィット21は、クラシカルなデザインも質感も良く、高級感があり、太さも重さも好みで、持ちやすく、書き味もストライク! 所有欲を満充電してくれるボールペンです。完全に個人の好みではありますが、カスタム74よりも満足度が高いです。特に書き味がたまりません。このクオリティで1万円と言うのは、かなりお得な気がします。国産のボールペンの中では、最もお気に入りの一本になりました。なんだかんだで、私はクラシカルなボールペンが好みなんですよね。

セーラーのボールペンが、ここまで好みに合致したのは嬉しい驚きでした。と言うことで、すかさずセーラーのプロフェッショナルギアも買ってしまいました。またこちらも1週間ぐらい使ってからレビューします。

動画でのレビューはこちら。

セーラー プロフィット21仕様

名称 セーラー プロフィット21
希望小売価格 11,000円(税込み)
長さ×軸径 143.6mm × 11.9mm(キャップ部:15.5mm)
重さ 34.1g
ボディ素材 PMMA樹脂
機構 ツイスト式
インク 18-0300(1.0㎜)
公式サイト セーラー万年筆公式

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今日は胸ポケットに装備して出かけます。